過去の雑記
ポーランドのクラクフは訪れなければならない場所 ~人類史上最悪の黒歴史 アウシュビッツ収容所で感じたこと~
ポーランドのクラクフは訪れなければならない場所 ~人類史上最悪の黒歴史 アウシュビッツ収容所で感じたこと~
ポーランドのクラクフ
ここに人類史上最悪の殺戮が行われた
同じ人間が行った事実
その歴史に触れる機会を得ました
目を背けずにきちんとこの目で見ておきたい
漠然とですが、そうすることが自分の人生を大切にすることにつながるような気がして自分を突き動かすものがありました
すべてが衝撃的なものでした
自分が感じたものをここに記録しておこうと思います
アウシュビッツ収容所
行きのバスで見たビデオ
行きの車の中で、ツアーの参加者と共に一時間近く当時の生々しい映像を見た
想像していた以上の出来事だった
小さな赤ちゃんが殺され、物を扱うように、刃物で切り裂き解剖していく
足を切断し肉をそぎおとし骨だけになる、手で足をつかんで残った体をぶら下げて、カメラに向かい何かを発していた
とても人間のやることではない
この世のものとは到底思えなかった
この映像の中だけでも
まるでゴミを処理するように
数えきれない人の命が奪われていった
殺された人は何のために生まれ
何を思い死んでいったのだろうか
殺した人は何のために生まれ
何を思い死んでいったのだろうか
受け止めきれなかった
人間とはなんなのか
存在を疑った
そんな映像だった
くつ
この小さなくつを履いて
幼い子どもはどこへ向かっていたのか
大好きなお母さんのもとか
お父さんに抱っこしてもらうためか
それとも仲良しのお友だちと
どこかにあそびにいくためか
なにもできず
恐怖に押し潰され
殺された
くつはあそこに止まっている
あのくつを履いて
恐怖に怯え泣いていたのか
監視役から逃げようとしたのか
お父さんお母さんを探し回り
泣き叫んでいたのか
あの靴もそんなために生まれたのではない
このくつをはいていた子が
この世に生を受けたとき
家族は歓喜と希望に満ち
この子の持つ
無限の可能性と
光輝く未来が
その先に広がっていたはずだ
その全てを消し去ったものを
断じて許すことはできない
だからこそ
私たちは何があっても
二度と戦争をしてはいけない
山積みのくつの意味
思い出すだけで胸が苦しくなる
涙がこみ上げてくる
女の子
写真に映る
かわいらしい女の子を思うと
かわいそうでならなかった
男の子は泣いていた
向けられたカメラに
彼は何を思ったのだろう
彼の目を見つめることが
僕には耐えられなかった
女の子を抱く男
彼の目は何を訴えていたのか
すべての瞬間が
絶望でしかなかった
される人間も
逆の立場の人間も
何のためにこの世に
生まれてきたのだろうか
23KG
同じ人間として
この一人一人を
どう見つめればいいのか
わからなかった
悪魔の空間
何の罪もない人が
同じ人間によって殺され
ここで燃やされていく
この部屋の全てが
不気味さに満ちていた
窓の光さえも
光る窓
絶望の闇の中で
窓からの光は
どう映っていたのだろうか
ひとつの区切りの中に
10人以上の人間が
布団もシーツも枕もなく
うだるような暑い日も
身を引き裂くような寒い日も
ここで体を横にしていた
小さな小屋の中に
1000人以上の人間が
閉じ込められていた
何を考えていたのだろうか
何が彼らを支えていたのだろうか
彼らに希望はあったのだろうか
彼らの心の声は
きっと永遠にわからない
それでもほんの少しでも
その声に耳をすませ
私の命に刻み込み
いただいた人生を大切に歩んでいきたいと思った
マリー
殺される前に撮られた
一人一人の顔の写真を見た
かけ離れた心境だが、卒業写真のように一人一人の顔が、壁に並んで貼られていた
何年もの時を越えて
白黒よりもどこか暗く映った
ただ、暗い中にも人間の目だけが光っていた
力強い目
見開いた目
何かを訴えるような目
力を失った目
一人一人の目に
魂の叫びがあった
その表情は悲壮感しかなかった
私が見た中で
たった1人笑顔の女性がいた
マリー
当時の状況の中
殺されるであろう直前
朗らかに笑っていた
絶望以外
存在しない暗闇の中で
微笑む彼女は
誰よりも強く
誰よりも高貴な
希望の人間だったに違いない
泥沼に咲く
蓮華の花を思った
最後に
人間の残虐な歴史にふれてきた
言葉では表現できない場所だった
人間とはなにか
生きるとは何か
きっとそれらを求めて
多くの人が地球のあらゆる所から
この場所を訪れるのではないだろうか
書物や映像ではなく
この場を訪れ
自分の命で感じてもらいたい
私はそう思いました
ビルケナウの空は
まるでなにもなかったかのように
美しく澄みきった青空が広がっていました
どこまでも広がる空を見つめ
私は心から
平和であることを願い
日本にいる父と母に感謝し
愛する娘の幸せを願いました
2017年 5月14日
ポーランドのビルケナウにて