過去の雑記
現役高校教師のリアルな意見〜日本の教育について正直に思うこと〜
はじめに
私は、中学校の時、素晴らしい担任の先生に出会ったこと。
そして高校野球が大好きであり、高校時代の部活動の顧問の先生、体育科の先生たちが仲良く楽しそうに仕事をする姿を見て、迷うことなく教員になろうと決めました。
未来の宝である高校生と共に学び、成長できる、そんな仕事ができることがうれしくてたまりませんでした。
特に授業が大好きで、保健体育教師の勉強会を月1で開催。ダンス指導の勉強会も月1でやっていました。
保健も体育も生徒が成長し、楽しんでくれることがうれしくて仕方ない。
もっともっといい指導がしたいという気持ちは一向になくなりません。
私は、今でもこの仕事に誇りを持っています。
それでも、良いことばかりではなく、ここ最近ではあまりにも大変な仕事に変わり果ててしまったのも事実です。
忙しい、休みがない、うつ、自殺、辞めたい。ブラック企業の側面を持つ教員の現状を目の当たりにしてきました。
しかし、教育がいかに重要であるか。世界をまわる中で痛感してきたことでもあります。
一番は子どもたちが、楽しく元気に学べること。成長できること。そのために教員が元気であることは必要不可欠です。
教育が、明るい未来に繋がっていくのがようやく少しずつわかるようになりました。
そのために必要だと思うことを、自分なりに5つにまとめてみました。
実際に現役で働く、一人の教員として、どんな形でも構いません。日本の教育がよい方向に向かっていくために、たとえ1mmでも力になりたいと思っています。
教員の健康を守る
①教員の健康を守るためには、休日は休める体制を作ること。
②本当に必要な仕事を見極め、不要な仕事をバッサリ削減すること。
③精神的な健康を保持増進できるような環境を作ること。
この3つが大きな鍵だと思います。
休みがない。言い換えると、休日を使わないと仕事がまわらない状態が非常に多いのです。
それは、その教員の能力が低い、もしくは、努力不足と思う方もいるかもしれません。
自分なりに反論すると、教員の仕事は膨大です。
多すぎて何を減らせばいいのかわからないほどです。
次から次へと新しい仕事が増えて行き、先行きが見えません。
きちんと食事、睡眠をとり、自分のリフレッシュの時間も作り、人間的な生活ができれば、元気に仕事に打ち込むことも可能でしょう。
しかし、教員側だけの努力では限界が来ています。継続可能な環境ではないと思います。
もちろん教員が努力せず、国や行政機関にだけ変わって欲しい、変えて欲しいと言っているのではありません。
国や行政機関、教員など関わるどれもが共通理解を持って努力すべきだと思います。
このままでは、教員がつぶれます。実際にうつやストレス関係の病気の先生は増えています。
これはおそらく氷山の一角です。
教員がつぶれていけば、子どもたちにしわ寄せがいきます。
子どもたちにしわ寄せがいけば、一人一人の人生を大きくマイナスの影響を与えてしまい、日本の未来にも大きく影響します。
そのためにもまず
「教員の健康を守る」
これを本気で実行していただきたい。
生徒の健康を守る
生徒の健康を守る前に、教員のやれる所を明確にすべきだと思います。
子どもたちの健康、命を守る。それと同時に自分で守る力を育てることも大切なはずです。
何から何まで教員、学校が守る。これは無理があります。
教員が守るべき所、家庭で守るべき所、両方でカバーすべき所もあるはずです。
もちろん、生徒自身が自分で守れないといけないこともあります。
一番は、自分で守れる人間を育てることでしょう。
そこにいくために教員や保護者が中心となり子どもの健康を守るべきだと私は考えます。
その実現、自分で自分の健康を守る力を身に付けるためにどうしていくか、そこに力を注ぐべきだと思います。
例えば、横断歩道を歩くとか、左右を確認することもそうです。
少し専門的になると、体育教員が指導するときに安全面の配慮をする時の視点を生徒に与える、身に付けさせる、保護者にも知ってもらうなどがあります。
具体的に言うと、キャッチボールをするときに、それたボールが人に当たらないように列を揃えるとか、他の集団に当たらない向きでキャッチボールをするなど。
なぜここでやるのか。なぜこの向きなのか。
この状況で起こりうる危険性は何か。
それを防ぐにはどうしたらよいか。
変化する状況を察知し、そこから予測、予防する力を育てることは、まさに重要な教育だと思います。
それを実施するためには、教員が元気であること、全職員が共通理解し、全校体制で指導することが有効です。
教員が忙しすぎたり、疲れきっていたらこういうことにエネルギーを向けられないのです。
だから、教員の健康を守ることが子どもの健康を守ることにつながると考えます。
部活動のあり方を変革する
私はこの現状を変えるには、ここまでやらざるを得ないのではないかと思っています。
それほど、教育現場は疲弊しきっていると思います。
私自身、教員になったのは部活がやりたかったからです。半分はその理由でした。
しかし、16年間ほとんど休みなく働き続けさすがに心も体も悲鳴をあげてきました。
自分の人生、本当にこれでいいのか、何度も何度も自問自答を繰り返してきました。
教員は、弱音を吐いてはいけない。愚痴を言ってはいけない。一度始めたらずっとやめずに続けなければならない。
教員らしく振る舞わなければならない。そんな強迫観念にちかいものをずっと感じてきたのも事実です。
8がつく日には、早く帰る。
こういったことをやってくれていますが、正直現場の教員は迷惑でしかありません。
勤務実態調査も負担が増え、逆に教員を苦しめています。教育委員会から指導が入るからといって、本意ではないものを書くような圧力がかかることもあります。
なんの解決にもならない、むしろ逆に苦しめることばかりやるのなら、大きな仕事を一つバッサリなくすことが最も合理的であり、効果的だと思います。
実際に、フィンランドから現在カナダまで現在23ヵ国をまわる中で、様々な国の先生の働き方も聞いてきました。
ほとんどは、教科指導のみ。これが教員の仕事。そこは明確でした。
ところが、それに対して日本は、
教科指導
校務分掌
部活指導
大きな柱となる仕事が3つあります。
つまり、他の国の3倍の仕事をあたり前にしています。
しかも、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸など、アジアを除く海外では夏休みは2ヶ月前後あり、冬休み、春休みもあったりします。もちろん給料も出ています。
それで、国民が文句を言ってもいません。
日本もこれを全て真似して欲しいわけではありません。
世界の働き方とあまりにもかけ離れている現実を日本の人たちにも一人でも多く知ってもらい、その中で、実現可能なものを見つけていくことができないだろうかと思っているのです。
そう考えると、部活動のあり方を変革する。
わかりやすく言うと部活指導をこの時代に合った形にアップデートすることです。
具体的な提案として
・部活指導は希望制にする。(指導費はきちんとした額。)
・外部コーチ、外部組織と連携した指導の導入。
・地域のニーズに応じたクラブチームの設立と運営。
部活をやりたい生徒はいます。
また、部活のニーズもますます多様化していくでしょう。
外部指導へ切り替えることは可能でしょうし、指導したい先生にはやってもらう方法をみつけることもできるはずです。
軸はいかにいい教育をしていくか。
先生も生徒も健康で、未来に向けて継続可能な環境を作るかが大切なことだと思います。
そのためにも部活動廃止する、言い方を変えると、部活動のやり方を変える。
ここにエネルギーを向けることは、大きな一歩になると私は思います。
おわりに
今回は現役教師としての正直な意見を書きました。
素晴らしい先生との出会いのおかげで教員の道に進むことができました。
自分で選んだ道だからこそ、文句をいうだけで終わるのではなく、少しでもよくしていけるように建設的な意見と行動が大切だと考えています。
1人の人間の力など、ちっぽけなものだという人がいるかもしれません。
しかし、私はそうは思いません。たった1人の人間が、世の中を変えて行く力を持っていると私は信じ、このブログを書いています。
最後にアフリカのことわざをご紹介しておわりにしたいと思います。
『もし、自分は変化をもたらすには小さすぎる存在だと思ったら、閉め切った部屋で一匹の蚊と寝てみなさい』