過去の雑記

佐藤学先生の講演会に参加して〜岐阜県の中学校にて 令和元年6月18日〜

佐藤学先生の講演会に参加して〜岐阜県の中学校にて 令和元年6月18日〜

佐藤学先生の講演会に参加して〜岐阜県の中学校にて 令和元年6月18日〜

はじめに

今回は、非常に貴重な学びの場を提供していただき本当にありがとうございました。

佐藤先生のお話を自分なりに大事だと思った点をまとめてみました。

自身の備忘録として、アウトプットし記録させていただきます。

佐藤学先生

『学びの共同体』の提唱者

学習院大学教授 東京大学名誉教授 教育学博士

率直な感想

今はとにかく嬉しい気持ちでいっぱいです。

これほど充実し、学びに溢れた有意義な研究会はありませんでした。

昨年、岐阜北高校に来ていただいた時に、初めて佐藤先生にお会いして、日本の教育、世界の教育、これからの時代に実践すべき教育についてお話を聞きました。目から鱗のお話に、感動しっぱなしでした。今回の佐藤先生のお話が聞ける研究会も、気がついたら夢中になってのめり込んでいました。

佐藤先生は、ご自身で教育について研究なさるだけでなく、世界中の学校現場に実際に訪れ、教育者として、研究者として、あらゆる角度や視点からご覧になられてきたご経験があります。圧倒的な質と量。到底誰も真似できないレベル。それでいて、それを本当に楽しそうに実践されお話してくださるので、聞いていて嬉しくなるし、楽しくなります。

教育の道を志す人間として、心から尊敬し、目指すべき目標の存在でもあります。

自分もカラーはもちろん違いますが、10年後、20年後には、多くの人にいい影響を与えていける、そんな人間でありたいなとあらためて決意させていただきました。

佐藤学先生、そして中学校の先生方、これほど有意義で、貴重すぎる機会を与えていただき、本当にありがとうございました!

授業づくりのポイント

授業前

欠席者がいないこと。見学者がいないこと。つまり、生徒たちが参加したい!自分もやりたいという雰囲気を感じられるかどうか。授業開始前に、いい授業かどうか判断できるとの視点でした。

生徒の一言

本時は、マット運動の倒立前転。

中学校の女子生徒。授業開始時に全体に向けて放った言葉をご紹介してくださいました。

『友達が少しでもできるように頑張りましょう!』

自分ができるように。ではない。

友達ができるように。

女子生徒がそれをさらっと言っていたことに対して、佐藤先生は、感激しながらお話していました。

信頼関係

安心しきっている。信頼しきっている。先生と生徒。生徒同士。だからいい授業ができる。

今回の中学校の先生のご指導と生徒たちを大絶賛されていました。

授業成功の秘訣

学年会だとおっしゃっていました。全体会でなく、学年会での教員間の密な情報共有、連携によりいい授業が生まれたのだと説明してくださいました。目の前の現象を、目先だけでなく、事前準備の大切さを教えていただきました。

担当した先生と、生徒たちの取り組みの素晴らしさを大前提としてお話しされていました。

ジャンプ課題を入れる

大概の授業は、設定のレベルが低い。

高い目標となるジャンプ課題を設定することで、生徒は挑戦し、探求活動が始まり、夢中になって行く。

やらないよりやったほうがいい。

バレーボールで言えば、バックアタックやクイック。

サッカーで言えば、ヘディングシュートやボレーシュート。

ジャンプ課題を入れることは、何度も念を押して話してくださいました。

教員は準備しないこと

ジャンプ課題は入れたほうがいい。

しかし、準備しすぎたり、悩んだりしてはいけない。忙しくすることはしないこと。

日頃、仕事の多さに忙殺されることが多かった自分にとっては、気持ちが楽になる、ホッとする、むしろ嬉しくなるようなお言葉でした。忙しくしてはいけないと言われていました。

ジャンプ課題は思いつきでいい。

授業中に思いついたものでいい。

そういう中で、やってみればいいと。

こういうことを、声を大にして言ってくれる。

本気で現場の教員や、子供達のことを考えてくださっていると僕は感じました。

教育の大きな変化

およそ20年前に、ヨーロッパを中心に一斉授業はなくなりました。それまでは、単純労働者を育成するために一斉授業を行なっていた背景があります。

しかし、現在は9割が知的労働に変化してきました。

それにも関わらず、日本はその変化に全く対応しきれなかった。

1つのわかりやすい例として、日本の高校卒業後に就職した人の半分以上が3年以内に会社を辞めるそうです。

大卒でも5年以内に半分以上が辞めるそうです。

教育現場と社会のズレが現れた1つの例です。

時代の変化にうまく対応したフィンランド

時代の大きな変化に、上手に対応した例として、佐藤先生はフィンランドを紹介していました。

わかりやすい例として、フィンランドでは大卒が95%。国民のほとんどが大学まで卒業している。

また、社会人として働きながら、大学院で学ぶ人も多く、教育と社会がきちんと繋がっている1つの成功例。

学ぶべきヒントがきっとたくさんつまっているはずです。

効果的な教育のために

場・関係・環境を作る

例えば、教室の机の配置。4人組にするのがいい。多すぎず、少なすぎず。

従来の、1つ1つ横並びで全員前を向いている配置は今の時代にはあっていない。

また、教師の立ち位置も重要。教員の教室内での立ち位置によって、子どもの表情は変化して行く。

自分自身気にしていたことでもあり、納得する実感がありました。

聞き合いを重要視

わからないことに対して、話し合いをする。そこに探求が生まれる。

簡単な質問ではダメ。生徒がすぐわかるような質問での話し合いはダメ。

難しい課題を設定することで、学びの共同が生まれ、探求が生まれる。

仲間の意見に耳を傾けることが大切。

静かな環境が重要

質の高い学びをするためには、静かな環境が必要。

教室に入らなくてもいい授業かどうか、静かな環境かどうかでわかるそうです。

教員も静かに話し始めることが大切。

第4次産業革命以降の教育

2016年以降、目指して行くべき教育が大きく変化している。

創造性・探求・共同

これからの時代に必要なキーワード。

この3つを育てるような教育が必要。

そしてそういう人材を育てて行くことが、教育に求められる。

Gregory Batesonの学びについて

学びは2つある。

①知識の内容

②学び方の学び

①だけでは、ガラクタをたくさん持っているだけである。微分積分を日常生活で使いますか?と言った質問をされていました。

それに対して、②の学び方を学ぶ。これは一生涯使えるもの。

だから、子どもたちには学び方を学ばせる必要がある。

そのために必要なのが探求

1人では探求はできない。できるとしたら優れた研究者のみ。

なぜなら、1つのことについてあらゆる角度から捉え検証することができるからである。

しかし、一般の人間では難しい。だから、複数の人間で探求を行うのです。自分以外の人間と知恵を出し合い、難しい課題に挑んで行くことで学び方を学ぶことができるのです。

探求して向かうことが大切

ゴールにたどり着けなくてもいい。

そこに向かって行くことが重要である。

その際に、佐藤先生がおっしゃられていたのは

『探求の重要性』、『知識の理解も重要』

授業の目標を立てることや、振り返りをするよりも、ジャンプ課題を設定し、共同しながら探求活動して行く中で得られる学ぶ力を育成する方を大切にしてほしいとの佐藤先生からのメッセージを受けて、今回の講義が終了しました。

おわりに

今回は、教育に関わる人間として非常に有意義な学びがたくさんありました。

具体的にまだまだ自分の足りていない、大きな伸び代にはっきりと気づくことができました。

そして何より、教育について学ぶことがやはり楽しくてたまらなかったことが嬉しかったです。

そんな思いを、自分だけでなく、子どもたちにも、指導者にも共有していけるように、今日よりまた新しい挑戦を始めます。

心に火をつけていただきました。

自分も、人の心に火をつける、そんな教育者になれるよう挑戦していきます。

この度は、佐藤先生、研究会を開催してくださった中学校の先生、生徒の皆さん、本当にありがとうございました!