「そんなんやからいじめられるんや。もっと強うならんと」
少年も変わりたいと思った。
しかし、そう思えば、思うほど、変われなかった。
「変われ、変われ」と言う声は「お前はダメだ、ダメだ」と聞こえた。
「もっと頑張れ、もっと」という声が「頑張らない奴なんか、いらない」と聞こえた。
少年はうなだれた。
見かねたお母さんが言った。
「ええの、ええの。変わらんでええの。あんたは、そのまんまでええのよ。あんたは何も悪うない。いじめるほうが100パーセント悪いんやから。あんたが何したって、お母ちゃんだけは、あんたの味方や。それだけ覚えておけばええの。生きてさえおればええの。そのままで、変わらんとって。気が弱うても優しいあんたが好きなんやから。な、変わらんとって」
不思議なことに、変わらないでと言われたその時から、少年は変わり始めた。
自信をもち、顔を上げて生きるようになった。母の声は太陽の声だった。
太陽はありのままを愛する。桜は桜、すみれはすみれ。みんな自分らしく花開け。
生きとし生けるものよ、みんな私の光を存分に浴びて、伸びていけ。幸せになれ。仲良くあれ。地球よ、平和の園になれ。
(我がふるさとは世界「平和の園」)